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(ワシントンDC)-人権NGO「赤道ギニアに公正を」(EG Justice)などの諸団体は、国連教育科学文化機関(以下ユネスコ)の執行委員会が、オビアン賞の復活を拒否したことを高く評価した。同賞は、赤道ギニアのテオドロ・オビアン・ンゲマ・ムバソゴ大統領が出資し、同大統領の名を冠した賞。赤道ギニア政府は、2011年5月4日、従前の執行理事会決定を翻してオビアン賞を遅滞なく授与するよう申し立てた。これに対し、2011年5月9日、ユネスコ執行委員会は、赤道ギニア政府の申立を拒否した。

「オビアン・ンゲマ・ムバソゴ生命科学研究国際賞」(出資額300万ドル)は、世界中から廃止を求める激しい抗議にさらされた。これを受け、ユネスコは2010年10月、同賞を無期限に延期。著名なアフリカのリーダーたち、中南米の著名作家たち、ノーベル賞受賞者たち、科学者たち、公衆衛生の専門家たち、報道の自由を求めて活動する団体、カノ世界報道の自由賞(Cano World Press Freedom Prize)受賞者たち、人権団体などによる同賞の抗議に応えた形。オビアン賞反対の根拠に、オビアン大統領の下での汚職・人権侵害・報道の自由への制約などに関する国連報告書や諸外国政府の調査などがあげられた。

人権NGO「赤道ギニアに公正を」(EG Justice) 議長ツツ・アリカンテ(Tutu Alicante)氏は「今回の決定で、ユネスコは人権や統治(ガバナンス)に関する重大な懸念を無視しないという強いメッセージをオビアン大統領に送った事になる。オビアン大統領は、自らの国際的イメージを改善したいなら、シンボル的な賞に資金を拠出するのではなく、一般の赤道ギニア国民の生活改善に集中するべきである」と語る。

2010年10月、ユネスコ執行委員会は、赤道ギニア大統領を巡る前例のない抗議を前にオビアン賞を延期。この度のユネスコ執行委員会の措置は、その決定を再確認する性格のものである。昨年10月の決定は、ユネスコ加盟国間のコンセンサスの欠如とともに「ユネスコの信頼性・価値観・そして高い地位を維持する」というユネスコ執行委員会の責務に言及した。

ユネスコ執行委員長をつとめるロシア代表エレノア・ミトロファノワ(Eleonora Mitrofanova)氏並びに執行委員会をリードしたコートジボワール政府や日本政府及びその他の政府の代表らは、赤道ギニア政府のオビアン賞復活要請に対する全会一致での拒否勧告の根拠として昨年10月の決定を引用。執行委員会に代表を送っている58ヶ国全てが、異議なくその勧告を承認した。

「オビアン大統領の策略を拒否したユネスコは正しい行動をとった。しかし、この問題が再び表面化しないよう、この賞の明確な撤廃に向けて歩みを進めるべきである」と前出のアリカンテ氏は指摘する。

本声明はオビアン賞に反対する以下の7団体による共同声明である。シェルパ協会(Association Sherpa)、ジャーナリスト保護委員会(Committee to Protect Journalists)、赤道ギニアに公正を(EG Justice)、フリーダム・ハウス(Freedom House)、グローバル・ウィットネス(Global Witness)、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、オープン・ソサエティー正義イニシアティブ(Open Society Justice Initiative)。

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