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米国:LGBTの権利に関する オバマ大統領発言

差別に対する闘いの歴史の一幕となるべき 米国大統領とジャマイカ首相の支持

(ニューヨーク)-レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー(以下LGBT)の人びとの権利を支持する発言を行った米国のバラク・オバマ大統領とジャマイカのポーシア・シンプソン=ミラー首相は高く評価されるべきである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。両首脳の発言は、それぞれの国の選挙活動中に行われた。

オバマ大統領は、2012年5月9日に公表されたインタビューで、人はその性的指向に関わりなく平等な権利を享受するべきと考えるので、同性婚を支持するという個人的選択をした、と述べた。この問題に関し個人的に思考を重ねた後にこの結論に至ったが、同性婚法の導入は各州が決定すべきことだ、とも大統領は述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのLGBTプログラムのアドボカシー・ディレクター、ボリス・ディトリッヒは「ジャマイカのポーシア・シンプソン=ミラー首相と米国のバラク・オバマ大統領に共通するのは、性的指向或いはジェンダー・アイデンティティー(性自認)を理由に、人びとを差別するのではなく受入れるべきであると明言する政治的リスクをとったということだ。両首脳の決断は、世界中の人びとを勇気づけ、LGBTの人びとに明るい未来への希望を与えた」と語る。

1月に首相に就任したシンプソン=ミラー首相は、イクルージョンへの賛同を表明。ジャマイカ国民は性的指向を理由に人を差別してはならない、と彼女は発言。党首間討論の際には、同国のバグリー法(一定の性交を禁止する法)を見直す考えも表明した。ヒューマン・ライツ・ウォッチは2004年11月、ジャマイカにおけるLGBTの人びとに対する差別に関する報告書を公表している。

1990年に世界保健機構が同性愛を疾患リストから削除した5月17日を、2005年以来、数十ヶ国の団体が「国際反ホモフォビア・反トランスフォビアの日(IDAHOT)」として記念している。この5月17日に先立ち、オバマ大統領の発言はなされた。

2005年以来、毎年、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、LGBTの人びとの尊厳・家族・安全を危険に晒す行動を取った「恥の殿堂入り(Hall of Shame)」の指導者数名をノミネートしてきた。今年は「恥の殿堂」の代わりに、オバマ大統領とシンプソン=ミラー首相を「名誉の殿堂入り(hall of fame)」にノミネートする予定である。

前出のアドボカシー・ディレクターのディトリッヒは「オバマ大統領は、再選を目指す選挙運動期間中に同性婚を支持すると決めたと明らかにし、自らを不利な立場(vulnerable)に陥れた。しかし他方で、この決断は、オバマ大統領が真の指導者である事を明らかにしている。シンプソン=ミラー首相も、大きな政治的リスクをとった。彼女の前任の首相は、同性愛行為を犯罪とし続けることに賛成する立場を表明しており、ジャマイカには、ホモフォビアやトランフォビアの長い歴史があるのだから」と指摘する。 

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