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Nguyen Viet Dung holds a sign saying he boycotted Vietnam’s national election in May 2016. The sign says, “To vote is a right, not a duty. No knowledge [of the party-nominated candidates] – No vote.”  © 2016 Nguyen Viet Dung

(ニューヨーク) - ベトナム政府は、民主化運動家のグエン・ベト・ユン(Guyen Viet Dung)氏に対する訴追をすべて取り下げ、すみやかに釈放すべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。警察は2017年9月に同氏を逮捕し、反国家宣伝罪の容疑で訴追した。ゲアン省の人民裁判所で2018年3月28日に公判が予定されている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局局長ブラッド・アダムズは、「ベトナムは『反国家宣伝罪』という個人の信用をおとしめる訴追を用いて反対意見を封じ込めている」と述べる。「改革を求めるグエン・ベト・ユン氏などの人びとは、こうした手強い圧力でも屈する姿勢をみせていない。ベトナム政府の反対意見への馬鹿げた不寛容に注目が集まる結果となっている。」

Vietnam is wasting its time using the discredited charge of ‘propaganda against the state’ to silence dissenters.
Brad Adams

Asia Director

グエン・ベト・ユン氏(32歳・Dung Phi Hoの名でも知られる)は、これまで長く社会的な抗議活動に携わってきた。高校生の時に「オリンピア山への道」という有名なクイズ番組で優勝して一躍有名になり、優秀な成績でハノイ科学技術大学への入学が認められた。しかし抗議活動に没頭し、2年後に退学させられている。再び公衆の目を集めたのは2015年4月のことで、ハノイ市の平和的な環境保護のための抗議集会に参加し、刑法第245条に基づく「公衆騒乱を引き起こす罪」の容疑で逮捕された時だった。 また同年、ベトナムの民主化運動のために、ベトナム共和党と呼ばれる政党を設立したとも伝えられている。

その後2015年12月に、ホアンキエム地区の人民裁判所(ハノイ市)で裁判にかけられた。 公判中、グエン・ベト・ユン氏の弁護団は、証人と「被害者」を法廷に召喚するよう裁判所に求めたと伝えられている。裁判所は弁護人の1人を追放することで応えた。その他の弁護人たちは抗議して退廷している。氏は15カ月の刑を言い渡されたが、2016年3月に高等裁判所が12カ月に減刑した。後に氏はフリーランスの記者に、逮捕に際して警察から顔や肋骨に殴る蹴るの暴行を受けたと話した。

グエン・ベト・ユン氏は2016年4月の釈放直後から、「何が起きようと最終的結論は、権力分立に基づく自由でなければならない」というモットーを胸に、再び政治活動と人権活動を再開。有害廃棄物を投棄してベトナム中部沿岸で大規模な海上汚染を起こした台湾の鉄鋼会社フォルモサに対する複数の抗議集会に参加した。グエン・ヴァン・ダイ氏や仲間のレ・トゥー・ハ氏といった著名な活動家への支持も表明。また2016年10月には、ハティン省とクアンビン省で起きた洪水の被害者支援といった人道支援活動にも参加した。

2016年5月にホーチミン市の活動家仲間を訪れていたとき、平服姿の男たちから襲われ、警察署に連れて行かれた。警察に2日間にわたって拘禁・尋問されたあと空港までエスコートされ、強制的にビン市に戻らされた。そこでも現れた正体不明の男3人により車に押し込まれ、ひどく暴行されている。

後にグエン・ベト・ユン氏は次のように証言している。「私の頭と腕を彼らは殴りました。青あざになって。言葉は一言も発せず、ひたすら車内で……。 拳だけでなく、脱いだ靴の先でもやられました。」

氏は仲間のある活動家に対し、男たちにゲアン省のホテルに一晩閉じ込めて殴られ続け、罪を認める声明を書くよう強制された後、やっと解放されたと話している。

2017年3月、1988年にベトナムと中国間の南沙諸島海戦で犠牲になったベトナム兵の追悼式に参加した複数の活動家を警察が拘禁。グエン・ベト・ユン氏と友人のドー・タイン・バン氏はBach Khoa区にある警察署に出向いて、仲間の活動家たちの釈放を求めたが、平服姿の男たちに襲われた。ドー・タイン・バン氏はその時のことを、ラジオ・フリーアジアの記者に次のように語っている:

「男2人に突進されたうえ蹴られて、ユンは倒れました。 4人、5人はいたでしょうか。うち2人がユンを、2人が私を殴りました。私はプラスチック製の椅子で頭をやられて出血し、顔やシャツ、目まで真っ赤に染まったので、私が女性だったせいもあるのか、流血がすごすぎたのか、男たちは私を殴るのをやめました。そして代わりにユンを殴り始めたのです。」

仲間の活動家によると、グエン・ベト・ユン氏は2017年9月の逮捕直前に取材を受けており、「彼が住む地域の高額すぎる学費の現状と、生徒や両親の思いや希望について」語っていた。

アダムズ局長は、「非暴力の活動家が、党と同じ方向を向いていないことだけを理由に、繰り返し迫害されていることに心が痛む」と述べる。「ベトナムの貿易相手国および援助国は、政府の野蛮で恥知らずな行為を非難すべきだ。」

皆様のあたたかなご支援で、世界各地の人権を守る活動を続けることができます。

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