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アフリカ:妊娠した少女や若い母親が学校から排除

アフリカ諸国政府は教育の権利を保障すべき

“Evelina,” 17, with her 3-year-old daughter “Hope,” in Migori county, western Kenya. Evelina is in Form 2, the second year of lower secondary school. After her baby was born, a friend encouraged her to go back to school. Although Evelina cannot afford to pay school fees, the school’s head teacher allows her to stay in school. © 2018 Smita Sharma for Human Rights Watch

(ナイロビ)—ヒューマン・ライツ・ウォッチは6月16日の「アフリカ子どもの日」に先立ち、妊娠中の少女や若い母親がアフリカ全土で何万人も就学を禁じられたり、妨げられたりしていると本日発表の報告書内で述べた。

報告書「アフリカの少女たちを置いてきぼりにしない:妊娠した生徒と若い母親に対する教育機会の差別」(全40ページ)は、アフリカで少女の権利について広範に行ったヒューマン・ライツ・ウォッチの調査をまとめたもの。アフリカ連合(AU)全加盟国において、妊娠中の少女と若い母親の初等教育および中等教育への権利を妨げるあるいは支援する各国国内法、政策、慣行を検証した。アフリカ地域は世界でもっとも高い若年妊娠率を保持している。各国政府は、妊娠中の少女の就学や出産後の復学を許可・支援するための法律および政策を速やかに採択すべきだ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの子どもの権利担当調査員エリン・マルティネスは、「アフリカの多くの国々で妊娠した少女や若い母親が退学させられ、教育を受ける権利を否定されている」と指摘する。「一部で進展はあったが、アフリカ連合は加盟国とより密接に協力し、少女が妊娠したために教育の権利を否定されるようなことが決してないようにしなければならない。」

近年、多くのアフリカ諸国政府が、妊娠した少女や母親の教育機会を保障すると約束してきた。しかしながら赤道ギニアシエラレオネタンザニアでは、依然として妊娠中の少女や若い母親が公立学校への就学を認められていない。

“Evelina,” 17, with her 3-year-old daughter “Hope,” in Migori county, western Kenya. Evelina is in Form 2, the second year of lower secondary school.

After having a baby at and being forced to drop out of school at age 13, Evelina is finally able to resume her education. 

Evelina's story

2017年6月22日にタンザニアのジョン・マグフリ大統領は、「私が大統領でいる限り、妊娠した生徒の復学はない」と明言。タンザニア警察や政府職員は妊娠した少女を逮捕したり、家族に父親を明かすよう嫌がらせをしたりしている。国連人権高等弁務官はこうしたタンザニアの政策を「ショッキング」だとしており、アフリカの女性の権利に関するアフリカ委員会特別報告者子どもの権利と福祉に関するアフリカ専門家委員会は懸念を表明したうえで、タンザニア政府は人権義務を果たすべきだと述べている。

2018年5月に西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)司法裁判所は、妊娠中の少女が公立学校に通うことを拒否したことからシエラレオネ政府に対して提起された事案を受理した。

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A special interactive feature on empowering pregnant girls and adolescent mothers in to stay in school.

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多くのアフリカ諸国において、妊娠した少女は教育機会を否定されている。また多くの国では、出産後の復学政策が制定されていない。アンゴラブルキナファソといった若年層の妊娠率が高い国では、学校における若年妊娠を管理するための政策が存在しない。

国によっては妊娠している少女を特定するために、学校関係者が強制的な妊娠テストなどの有害な手段を取り、その上汚名をかぶせ公衆の面前で恥をかかせたり、あるいは退学させたりすることもある。同意なき妊娠検査はプライバシー権と尊厳を侵害するものだ。屈辱を恐れるあまり、妊娠がわかった途端、先に学校をやめてしまう少女たちがいることも今回の調査でわかった。安全ではない人工妊娠中絶で、健康や生命を危険にさらす場合もある。

アフリカ北部の国々は一般的に、妊娠した少女の学校における取扱いをめぐる方針をもっていない。婚姻外の性的関係があるとされる少女や女性に重い罰則を科す国もある。地域社会に不名誉をもたらすと認識されている子持ちの少女や若い女性は、嘲笑され、孤立し、あるいは投獄さえされ、学校には残らないだろうとみなされるのである。

妊娠中および子育て中の少女の教育を保護する法律や政策を有する26のアフリカ諸国では前進が明らかだ。ガボンコートジボワールを含む4カ国は、妊娠中および出産後も学校を続ける権利を少女たちに保障している。ケニアマラウイを含む22カ国は条件付きの「復学」政策をとっている。ベナンカーボベルデセネガルは懲罰的な政策を取り消し、少女の復学を支援するそれを採択した。しかしながら、「復学」を保障する法律や政策は、しばしば実施がお粗末で、学校がそれらを遵守しているか否かの監視も行き届いていない。

良い政策をとっている国でも、少女たちは復学の壁につきあたる。一部の学校では復学に厳しい条件を課したり、復学を思いとどまらせたりしているのである。これらの壁を克服するために、ガボンザンビアといった一部の国では、若い母親の復学をサポートする措置をとった。たとえば、初等教育と中等教育を無償にし、かつ授乳時間を確保したり、若い母親に午前か夕方の授業時間を選ばせたり、保育所や託児所を学校の近くに設置したりするなどがある。

アフリカ連合は2018年、加盟国に「アフリカの発展のために子どもを誰も置き去りにしない」よう呼びかけた。アフリカ連合は妊娠中の少女と若い母親がこの呼びかけに確実に含まれるようにしなければならない。

政府は、少女が学校に通い続け、出産後に復学し、学問で成功をおさめるよう奨励する法律および政策を速やかに採択すべきだ。すべての政府が教育を継続したいと願う若い母親に厳しい条件を決して課さないようにする必要がある。

若い母親が教育を継続するための包括的なアプローチを採用し、早期および計画外の十代の妊娠の根本原因究明に取り組むべきだ。若者に性およびリプロダクティブヘルス・サービスへのアクセスを提供することが重要だ。学校や地域社会における包括的なセクシュアリティ教育、様々な避妊方法や安全かつ合法的な人口妊娠中絶へのアクセスを確保すべきである。

マルティネス調査員は、「妊娠中の少女たちを退学させても、10代の妊娠はなくならない」と述べる。「妊娠中または結婚した少女を排除してしまえば、多くのアフリカ諸国が誰も置き去りにしないという約束を果たせない。が、妊娠した少女や若い母親が復学を許されるようになれば、アフリカ大陸全体が、その恩恵を受けるようになるだろう。」

Selected quotes

“I didn’t want to have a baby … I’ve told all my friends that they do not try to have a baby… it causes many problems… But if you do have a baby, then you should go back to school after the birth. There’s no need to feel ashamed. Mistakes are human.” – Fatoumata, 17, from southern Senegal, who became pregnant when she was 16.

“At the school there was a nurse who would come from the hospital to check [test] for pregnancy. They checked me and found out I was pregnant. They touch your stomach. They did it to all the girls every month. Then they wrote a letter to my parents to tell them I was pregnant and they had to go to the school. There they gave them a letter that I was expelled from school. I was three months pregnant.” – Imani, 22, from Mwanza, Tanzania, who became pregnant when she was 16.

“I became pregnant when in class eight in 2014. I needed money to register for my final [primary school leaving] exam. My father had married another wife and left us. My mum didn’t have any money. I met a man who was working as a part-time teacher and told him my problems. He said he will give me the money. I started a sexual relationship with him, and that is how I got pregnant. My community mocked me. Other students rejected me. They would mock me and laugh at me. I felt ashamed that I was a mother in the midst of girls. I almost left school, but the principal encouraged me and I took heart. My mother struggles to educate me, but I am now in form three.” Angela, 20, from Migori County in western Kenya, who became pregnant when she was 16.

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