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Tomás Ojea Quintana, special rapporteur on the situation of human rights in North Korea, at the UN Human Rights Council in Geneva on March 13, 2017. © 2017 Reuters

(ジュネーブ)―  国連人権理事会が、北朝鮮による人権犯罪の責任を追及する動きを強めている、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。2017年3月24日に投票なしで採択された決議は、北朝鮮による重大違反の訴追戦略のアセスメント・策定にむけた国連の活動を後押しするものだ。

この決議により、国際刑事法の専門家の追加などで、在ソウル国連人権事務所が強化されることになった。こうした専門家らは、人権侵害の責任を負う北朝鮮の指導者や高官の訴追に向けた計画を練ることができる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのジュネーブ代表ジョン・フィッシャーは、「国連人権理事会は本日一致団結して、北朝鮮の悲惨な人権侵害を非難し、 かつ指導者層の責任を追及する取組みを支持した」と指摘。「今回の決議に対する圧倒的支持は、金正恩氏をはじめとする人権侵害の責任を負う北朝鮮の高官らが、法の裁きから逃れることは許さないという、国際社会の誓いを改めて示した。」

在ソウル国連人権事務所の訴追の専門家が、調査員からの情報を分析評価できるようになるだろう。そして足りない証拠を特定し、北朝鮮の機関の指揮命令系統を分析したうえで、人道に対する罪を含む重大な人権侵害の責任者の訴追に向けて、効果的な選択肢や戦略を立案することもできる。

国連北朝鮮人権状況特別報告者のトマス・オヘア・キンタナ氏は、2月に人権理事会に対して行った最新の報告で次のように強調している。「被害者および社会が人権侵害の真実を知る権利、そして被害者が補償を受ける権利を確保し、かつ人権侵害の再発防止を保障することはもちろん、重大犯罪の捜査・訴追も不可欠である。」

在ソウル国連人権事務所の強化は、2016年3月23日に採択された人権理事会の決議に基づき設置された、責任追及に関する独立専門家グループの勧告に従ったもの。国連人権高等弁務官事務所が昨年9月に、バングラデシュ最高裁のサラ・ホサイン弁護士と、「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会」の元メンバーでセルビアの人権活動家ソーニャ・ビセルコ氏を専門家として指名した。

また、今回採択された決議により、今後の北朝鮮関連の法の裁きをめぐるあらゆる取組みのために、北朝鮮の人権状況に関する情報や証拠を受け取り、保存・整理する独立した情報集積システムが確立されることになる。あわせて、国連北朝鮮調査委による2014年勧告に従うことの重要性も強調された。

北朝鮮調査委は、北朝鮮における人権侵害が深刻さ、規模、性質のすべてにおいて現代の国際社会でほかに類がないものであり、人道に対する罪に該当すると結論づけた。市民の奴隷化や一族抹殺、殺人、レイプなどの性犯罪、意図的な飢餓、強制失踪は、「国家最高指導層の決定した政策に従って」行われたとしている。国連安全保障理事会は北朝鮮の事態を3年連続で公式議題にして協議しており、北朝鮮の悲惨な人権状況が地域の平和および安全の脅威となっていることを認識している。

前出のフィッシャー代表は、「国連人権理事会が今回の決議で示したのは、人権を侵害する政府の責任を問うという加盟国の約束をしっかり実行に移せば、重要な前進があるということだ」と指摘する。「北朝鮮の人びとが苦しんできた人権犯罪に対する法の裁きの実現に、一歩近づいたというだけではない。北朝鮮政府高官が今後、人権侵害を犯す前に再考を促すという効果もある。」

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