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東京新聞・中日新聞 2020年1月10日 © 東京新聞・中日新聞
 

二〇二〇年。節目の新年だ。そこで、次世代に重大な影響を与える人権問題について論じたい。

「キラーロボット」。聞いたことがあるだろうか。人工知能(AI)を搭載するロボット兵器のことで、ロボット自身が標的を選択し、自らの判断で攻撃する。SF映画のような世界だが、現実となる日が近づいている。

人の殺害をためらう人間的な感情を持たない「キラーロボット」の登場が、戦争の様相を大きく変えるだろう。誤爆などで民間人が殺害されても、責任を問えない。火薬、核兵器に続く「第三の兵器革命」ともいわれ、世界各地のNGOなどが禁止条約を求めている。各国が一四年以来、国連で議論を続けているが「カタツムリ」と批判されるほど歩みがのろい。条約交渉を求める多くの政府の意思をロシアなどがブロックしているのだ。

今年、すべての政府に期待されるのは、脅威の解決に向けてイニシアチブをとることだ。日本の外務省は二〇年度に国際会議を計画している。NGOや赤十字国際委員会(ICRC)も招いて、有意義な会合にしてほしい。

日本政府は禁止条約を支持し、リーダーシップを発揮してほしい。越えてはいけない道徳的な一線を越える兵器の脅威を次世代に与えない、これこそが今の大人がとるべき責任ある態度ではないか。

(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)

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