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東京新聞・中日新聞 2020年2月28日 © 東京新聞・中日新聞
 

国連の人権理事会を知っていますか? 選挙で選ばれた四十七カ国が理事国となり、世界の人権問題に対処する役割で、日本も今年、理事国だ。今週その会合が始まった。三月二十日まで続く。

忘れもしない七年前、二〇一三年三月の人権理事会で日本は歴史を作った。北朝鮮について調査委員会を設置する決議を主導したのだ。調査委は脱北者や拉致被害者の証言を聞き取り、一四年、国連として初めて、政治犯拘禁や拉致などの人権侵害が「人道に対する罪」に該当するとして国際刑事裁判所への付託を勧告する報告書を発表した。以来、北朝鮮への前例のない国際的圧力が維持された。日本の人権外交の最大の功績といえる。

しかし昨年、落胆は突然やってきた。日本政府は十年以上堅持した方針を変え、北朝鮮人権非難決議案の共同提出国から降りてしまったのだ。リーダーの突然の退場に世界は言葉を失った。融和的なアプローチに変えれば何か外交的成果が出るかもしれないとの期待が理由とも指摘される。

今月、五十四の個人やNGOが、北朝鮮決議案の主提案国に戻るよう求める共同書簡を日本政府に提出した。人権理事会では今年も決議案が提出されるだろう。日本外交は再びリーダーの座に戻るべきだ。北朝鮮の人権侵害に苦しむ人びとの光となれる、それをもう一度示さなくてはならない。

(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)

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